【※解説】足の臭いの原因と今日からできる対策

【※解説】足の臭いの原因と今日からできる対策

足の臭いが気になって気軽に靴を脱げない…「どうぞおあがりください。」と勧められても、玄関先で失礼してしまったというような経験をしたことはありませんか?
毎朝、靴の手入れも足裏の手入れもしているはずなのに、夕方になると足の臭いが気になってくるのは嫌なものです。
足の臭いを解決する為には、まず臭いが発生する原因を知ることが大切です。足の臭いの原因を知り、原因に合った消臭対策をしましょう。

足の臭いの発生原因は?

足の臭いが発生する主な原因は、雑菌の繁殖です。私たち人間の皮膚には、どんなに清潔にしていても、常に何種類もの菌が存在しています。これらの菌は特別な菌ではなく、誰もが持っている常在菌です。足の皮膚だけではなく、腸や口の中にも様々な種類の常在菌があります。

皮膚の表面にある多数の常在菌には、ニオイを抑える、皮膚を弱酸性に保ち、菌の繁殖を抑えるといった皮膚を良いコンデイションにする働きをする表皮ブドウ球菌などの善玉菌、反対に臭いを発生させる黄色ブドウ球菌、水虫の原因になる白癬菌などの足裏にトラブルを発生させる悪玉菌があります。この臭いを発生させる悪玉菌と汗や皮膚の角質が混ざり合うと足の臭いを強く発生させるイソ吉草酸アルデヒドという脂肪酸が生まれてしまいます。

汗や皮脂に雑菌が繁殖

汗は体温調節のために気温の変化や運動などによって体温が上昇すると分泌されます。そして体温調節とともに、皮膚の表面を弱酸性に保つという働きもします。汗が皮膚の表面を弱酸性に保つことで雑菌が増えない、体内の老廃物が排出される、皮膚が保湿されるなど、肌が良い状態に保たれます。
このように、汗は身体にとっても皮膚にとっても必要不可欠な存在です。ところが、足の裏と手の平は身体の他の部分の比べると汗腺の数が非常に多い為、靴や靴下にくるまれている足の裏では、大量の汗が雑菌の繁殖に影響を与えます。

角質に雑菌が繁殖

足の裏に雑菌が繁殖しやすい理由は、汗腺が多いことに加えて、皮膚の状態にも原因があります。赤ちゃんの足の裏はすべすべですが、大人の足の裏の皮膚はゴワゴワになっている人が多いのですが、その状態が足の臭いの原因であるイソ吉草酸アルデヒドを発生しやすくさせているのです。

なぜ大人になると、足裏がごわごわになってしまうのでしょうか?その理由は、乾燥による角化異状と、自分の体重から受ける重圧です。

顔や腕などの足裏以外の皮膚には、汗腺の他に皮脂腺があり、皮膚を乾燥させないようにしています。ところが足の裏には皮脂腺が無い為、非常に乾燥しやすい状態なのです。

通常、皮膚の基底層で生まれた肌細胞は、新陳代謝によって次第に皮膚の表面に押し上げられ、垢となって剥がれ落ちていきます。ところが、足の裏の皮膚は乾燥している為、新陳代謝が滞ってしまい、角質が剥がれ落ちていかず、皮膚の表面に蓄積されてしまいます。

その結果、角質が厚く、ゴワゴワになるという角化異状が起きてしまいます。

さらに、足の裏は寝ているとき以外、常に体重の重圧や靴の圧迫を受けている為、その衝撃を和らげる為に、防御本能によって角質は厚くなっていきます。そして、皮膚の常在菌が、この角質を栄養にしてイソ吉草酸アルデヒドという脂肪酸を発生させるのです。

蒸れでさらに悪化

足裏と同じように汗腺が多いと言っても、手の平は常に空気に触れていること、日に何度も手洗いをすることなどから、雑菌が繁殖して臭いを発生させる心配はありません。ところが足は、靴下やストッキングに加えて靴でくるまれている為、分泌された汗が何時間もの間、蒸発することも洗い流されることもありません。その結果、より雑菌が増え、臭いを発生しやすくなってしまいます。

体質や生活習慣も影響


「原因は分かったけれど、他の人より自分の足の臭いは強い気がする…なぜなのかしら?」と思われる方もいらっしゃると思います。その理由は、体質や生活習慣によるものかもしれません。

冷え性

男性に比べて、筋肉量が少ない為、女性に多い体質です。手足などの末端が冷える、睡眠の質が低下するといった症状が現れますが、その原因の一つは体内の循環の悪さです。血液やリンパ液の循環が滞っていると、足裏の新陳代謝も滞ってしまうので、角質が溜まりやすくなります。そしてその角質が雑菌の栄養となって繁殖させ、臭いを発生させるイソ吉草酸アルデヒドなどを生み出してしまうのです

多汗症

多汗症には、身体中の汗が増えるタイプと、部分的に汗が増えるタイプがあり、足裏の汗だけが増えることもあります。さらに部分的に汗が増えるタイプには、原因がわからない原発性局所多汗症と、神経障害や怪我による局所多汗症があります。原発性多汗症の下人は、遺伝的要素もあると考えられていますが、医学的にも解明されていません。もともと体質的に汗が多いという場合には、原発性多汗症である可能性があります。

また、多汗症の対策について詳しく知りたい人はこちらの記事もご覧下さい。

ベタッとした汗になりやすい生活習慣

汗は分泌された時には臭いがしません。雑菌と混ざることで臭いを発生します。特にベタッとした汗は細菌が繁殖しやすいので、臭いをより発生しやすくなります。具体的な例を確認してみましょう。

腸内環境の悪化
汗腺の機能の低下
新陳代謝が滞るような食生活
肝臓に負担をかけて全身の循環を悪くするアルコールやたばこ
過剰なストレス
足裏の皮膚の角質を溜めてしまうような生活習慣
足のケア不足
靴のケア不足

足の臭い悪化の原因となるNG行動パターン


日常生活の中で、どのような行動パターンが雑菌を繁殖させ、臭いを発生、悪化させてしまうのでしょうか?具体的に確認していきましょう。

汗のケア不足

5本指ソックスを履く、こまめに汗を拭くなどの方法は、自宅にいる時間が長い場合には実行できますが、仕事で外に出ている人には難しいと思います。パンプスを履く人には、5本指ソックスも難しいでしょう。そこで仕事のある日は、足裏用の制汗剤を使いましょう。
足裏用の制汗剤は、脇汗用とは異なる成分が配合されており、消臭や制汗効果だけではなく、角質ケアができるタイプもあります。

角質のケア不足

角質を溜めないようにする為には保湿が必要です。足の裏は汗腺が多いにもかかわらず、皮脂腺がないので、保湿機能が非常に低いからです。

角質除去をおこなって対策

ピーリング剤、かかとの角質除去用の軽石や金属のヘラなど、踵の角質用のアイテムを使います。ただ、過剰な角質除去は、皮膚にダメージを与え、却って状態を悪化させる恐れもあります。肌質に合わせて注意深く丁寧に行いましょう。

保湿クリームを使用して対策

入浴後フットケア用の保湿クリームを使います。しっかり保湿したい場合は、保湿クリームを塗った後に蒸しタオルやラップでくるもうと効果が高まります。

爪のケア不足

爪の間に汚れが溜まっていることも雑菌の繁殖に繋がります。爪の間は垢や雑菌がたまりやすいのでこまめに爪切りをして清潔な状態を保ちましょう。

靴・靴下のケア不足

靴や靴下は常に清潔な状態に保たれていますか?自分では気がつかないうちに、臭いの原因を作っていることがあります。

同じ靴を毎日・長時間履かないようにする

靴は1日履いたら2日休ませると、臭いがこびりつかず、清潔な状態を保つことができます。特に長時間履く人は、毎日靴を変えるようにしましょう。

通気性の悪い靴や靴下を履く

靴の通気性は、デザインと素材によって異なります。合成皮革や人工皮革より天然皮革、ブーツよりパンプスの方が通気性は良くなります。また、靴下も綿や絹などの天然素材で作られた製品は通気性が良く、ナイロンなど合成繊維の製品は通気性が良くありません。

乱れた生活習慣

生活習慣の乱れと足の臭いが関係あるの?とお考えになる方が多いと思いますが、体内の循環の悪さは、汗の量と質に影響を与えます。その影響によって汗の量が増える、汗の質がベタッとするといったことがおこり、雑菌が繁殖しやすくなってしまうのです。

不規則な生活をしないようにする

食事時間が不規則だと、どんなに栄養バランスが調っていても腸内環境が良くなりません。また、就寝、起床時間が不規則だと、睡眠の質が低下します。そのどちらも体内の循環を滞らせる原因となり、足の臭いに繋がってしまいます。

運動不足やストレス過多を避ける

適度な運動は体内の循環をスムーズにします。反対に、過度なストレスは自律神経の乱れに繋がり、体内の循環が滞ってしまいます。

足の臭いがひどいと、こんなことも…


多くの人が足の臭いには困っていて、たくさんの体験談があります。

飲み会がお座敷だと、周囲の人が臭いと思っているのではないかと心配になり、ソワソワしてしまう

友人と旅行に行き、帰りの列車の中で友人が「疲れたね~」といって靴を脱いだのに、自分は足の臭いが気になって脱げなかった

仕事で尋ねた先が靴を脱いで上がるところだった為、足の臭いが気になって仕事の話に集中できなかった

帰宅してブーツを脱いだら夫に「すごいニオイだね」と嫌な顔をされた

友人宅にお邪魔した時、空気清浄機のセンサーに反応されえしまい、慌ててしまった

足の臭いを抑える対策方法~足のケア編~


汗や角質のケアも必要ですが、足の臭いを抑えるための洗い方をすることも大切です。

足の洗い方、洗う部分にも気をつける

足の臭いが発生する部分は指と指の間と爪です。その部分に洗い残しがあると、毎日入浴しているのに足が臭い…ということになってしまいます。足の指と指の間に手の指を入れて、十分に石鹸の泡を行き脅かせましょう。
また、首から順に洗っていくと、足に到達する頃には洗浄力が落ちてしまいますので、足を洗う際には、いったんタオルを洗い流し、改めて石鹸をつけなおして洗うと、洗浄効果が高まります。体はボデイソープ、足は固形薬用せっけんと使い分けるのも良い方法です。

薬用の石鹸を使う

殺菌効果、デオドラント効果、角質除去効果のある成分が入った固形の薬用石鹸がおすすめです。

薬用クリームを使う

足を洗った後に塗る、保湿の為のクリームでおすすめしたいのは、保湿力の高さに加えて、角質を除去する効果のあるクリームです。
保湿と角質除去のどちらも並行して対策しましょう。
また、殺菌効果、制汗効果のある足用のデオドラントクリームを塗るのもおすすめです。

重曹の足湯

重曹には臭いを中和する、水分を吸着する、角質を柔らかくする、角質を取り除くなどの働きがあります。
その為、重曹を入れた足湯には足の臭いを消す効果があります。

足湯の方法

30~38度程度のお湯を洗面器にはり、小さじ1~3杯の重曹を入れてかき混ぜ、10~30分程度足湯をします。

ミョウバンのスプレー

ミョウバンには殺菌と制汗の効果があります。その為、薄めたミョウバンを足の裏にスプレーすると、足の臭いを消すことができます。

ミョウバンスプレーの作り方

水道水500mlをペットボトルに入れ、焼きミョウバン10~20gを入れてよく振り混ぜ、日の当たらない涼しい場所で、透明になるまで(1~3日)保管します。このミョウバン水を約10倍程度に薄めてスプレー用の容器に入れ、足の裏にスプレーします。

足の臭いを抑える対策方法~靴・靴下のケア編~


足のケアに加えて、靴や靴下の選び方も足の臭い対策には必要です。

靴の選び方

靴の通気性は、デザインと素材によって異なります。合成皮革や人工皮革より天然皮革、ブーツよりパンプスの方が通気性は良くなります。

靴のケア

毎日靴を変えていても、通気性の悪い場所に保管する、靴の中が汚れたままで保管するというような状態では、十分に靴を休ませることができません。靴の中の湿度と汚れを取り除いた状態で靴を休ませることが大切です。

保管の手順
①ブラシで表面のホコリを取り除く
②靴の内部に除菌・消臭ミストをスプレーする
③吸湿効果のある木製のシュートリー、ブーツキーパーを入れる
④乾燥・除湿剤の入った靴箱に入れる

靴下の選び方

靴下も綿や絹などの天然素材で作られた製品は通気性が良く、ナイロンなど合成繊維の製品は通気性が良くありません。また、つま先が繋がっている一般的なデザインより、5本指の方が通気性は上がります。

靴下のケア方法

靴下は他の洗濯物と一緒に洗っただけでは臭いが残ってしまうことがあります。そのような場合には、つけ置き洗いをするとニオイ対策ができます。
→つけ置き洗いの方法 薄めた重曹や、クエン酸水に裏返しにした靴下をつけ置きした後、他の洗濯物と一緒に洗濯します。匂いがひどく効果が感じられなかった場合は、薄めた漂白剤を使う方法もあります。

足の臭いを抑える対策方法~生活習慣編~


足の臭いを抑える為には、生活習慣の見直しも必要です。生活習慣の見直しは、汗の質を改善することに繋がるからです。サラサラの汗にする為の生活習慣が足のニオイ対策には効果的です。
なぜなら汗がサラサラであれば、雑菌の繁殖は少なく、ベタッとしていれば、雑菌の繁殖が増えるからです。汗は臭いの原因にはなりますが、汗そのものに臭いはありません。汗に雑菌が繁殖することで臭いが発生するのです。

腸内環境を整えるための食事を摂る

サラサラの汗にする為に必要なことは、体内の循環を良くすることです。体内の循環を良くする為には腸内環境を整えることが必要です。腸内環境を良くする為には、脂質や糖分の摂取を控え、食物繊維を積極的に取り入れましょう。

肝機能を高める働きのある食材を摂取

肝臓に負担がかかると、体内の循環は滞ってしまいます。アルコールや煙草を控え、大豆や大豆製品、山芋やサトイモ、豆乳など、肝機能を高める働きのある食物をメニューに取り入れましょう。

適度な運動や有酸素運動を心掛ける

運動不足も体内の循環を滞らせます。仕事が忙しく、まとまった運動の時間が取れない場合は、通勤時に一駅分歩く、エレベーターを使わず階段を使う、休日にゆっくり散歩するなど、日常生活に適度な運動を取り入れましょう。
また有酸素運動をすることで、臭くてベタベタした汗からサラサラの汗へと導いてくれます。

運動不足と汗の関係について詳しく知りたい人はこちらの記事をご覧下さい。

まとめ:多汗症の場合は受診も


ほとんどの場合、適切な足と靴のケアをすることで、足の臭いは撃退することができます。足の臭いが気になっている人は、自分の足の臭いの原因がどのケースに当てはまるか考えて、丁寧な脚洗いに加えて適切なケアを試してみてください。

汗の量が多い  → 足裏用の制汗剤を使用
汗がベタつく  → 腸内環境、肝機能向上の為の生活、食生活の見直し
足裏がごわつく → 角質ケア(過剰なケアには注意)
靴や靴下が臭い → 靴の手入れと靴下のつけ置き洗い

ただし、足裏に異常な量の汗をかく状態が続き、そのせいで足の臭いがしている場合には、足蹠多汗症(そくせきたかんしょう)という病気を発症している恐れがあります。足蹠多汗症の原因としては、遺伝や脳や神経の病気の影響、自律神経の乱れや精神的なストレスがあげられますが、明確なことは解明されていません。
内服療法、外用療法などの治療法がありますので、足裏の汗が異常なほど多いと感じたら、一度病院で診察を受けてみましょう。

また、足の臭い、靴の臭いが原因でスメハラの問題にまで発展してしまうこともあるので周囲への配慮は怠らないようにしたほうが良いです。

スメハラの伝え方や対策法、自分がスメハラの加害者側になってしまっているかもしれない…といった人はこちらの記事をご覧ください。

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臭いラボパートナー 編集部

医師監修と言われている情報でさえも信憑性が低いものがある昨今、臭いラボパートナー編集部が信頼性の高い情報を発信します。 体臭や口臭など臭いに関することなら幅広く何でも紹介。 健康にかかわることですので、資格として医学博士、日本医師会認定産業医など医師としての資格はさまざまありますが、そういった資格を所持した専門医に相談することもおすすめします。

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