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ワキガの臭いを永続的に抑えたいなら、手術でワキガの原因を直接治療する方法が効果的です。しかし、傷跡や後遺症が残るリスクがあるのか、なにより、費用がどれくらいかかるのかが心配な人も多いでしょう。そこで今回は、ワキガの手術にまつわる情報を詳しくお届けします。手術の種類や保険の適用について、ぜひ参考にしてください。
ワキガ手術方法の種類
ワキガの手術には、大きく「直視下手術法」と「非直視下手術法」の二つに分類されます。直視下手術法とは、ワキガの臭いを発生させるアポクリン腺を腺根まで丁寧に除去することに主眼を置いたもの。そして非直視下手術法とは、スピーディかつ傷跡を目立たなくすることに主眼を置いたもの。一番大きいのは、医師の手で施術をするかどうかの違いです。医師の眼で判断し、医師の手で直接手術を行う直視下手術法に対し、非直視下手術法は機械に頼って判断し、機械を使って手術を行います。
直視下手術法について
医師の手で直接ワキガを治療する直視下手術法の種類は以下の2つです。
● 剪除法
● 皮下組織切除法
それでは、それぞれの手術法についてご紹介します。
剪除法
剪除法とは、臭いを発するアポクリン腺を直視下で丁寧に除去する治療法です。アポクリン腺はもちろん、ワキガの臭いに関係する皮脂腺やエクリン腺を確実に取り除くことができるため、数あるワキガ手術のなかでも効果が高く、確実なのが嬉しいポイント。しかし、手術には片脇だけでも2時間ほどかかる場合があり、医師の腕によって効果が左右されるなどの点も否定できません。医師の持つ技術が伴っていないと合併症が起きたり、アポクリン汗腺が残って再発したりする可能性があるため、実績と信頼のある医師を探すことがポイントとなります。
皮下組織切除法
皮下組織切除法とは、ワキガ手術の原点とも言える古典的な治療法です。脇の毛が生えた部分の皮膚を、皮下組織を含め全て切り取るという手術法になります。剪除法のように、アポクリン腺やエクリン腺をまとめて取り除くことができますが、皮膚のツッパリや神経を損傷する後遺症が残る可能性もあるよう。また、傷跡が大きく、1〜2週間ほどの安静入院が必要なため、現在ではほとんど行われていません。
非直視下手術法について
ワキガの手術は、速さと美しさを重視している非直視下手術法のほうが一般的です。非直視手術法は、大きくわけて以下の4種類。
● レーザー療法
● 周波治療
● 皮下組織吸引法
● 超音波吸引法
まずは、非直下手術法のそれぞれの種類について知っていきましょう。
レーザーで汗腺を破壊
レーザー療法とは、レーザーで毛包を破壊し、その熱で臭いを発生させるアポクリン腺にダメージを与える手術法です。電気療法よりもより安全で確実に治療できるメリットがありますし、ムダ毛を減らすことで臭いの原因となる細菌の繁殖を抑えることができます。ただし、ワキガに対する効果は限定されてしまい、一度治療を行ってもアポクリン汗腺や皮脂腺は残ります。傷跡は残りませんが、ワキガの臭いを一掃したい人には不向きです。
周波治療:高・低周波で汗腺を破壊
メスを使って切るのではなく、マイクロ派(低周波)や、高周波を皮膚上から照射し、アポクリン腺やエクリン腺などの汗腺を破壊する治療法です。メスで切らないので、傷跡が残らず、当日からシャワーが可能などのメリットがあります。
皮下組織吸引法
皮下組織吸引法は、美容外科で行っている脂肪吸引に似た発想でワキガを治療する手術法です。脇の下の皮膚を小さく切開し、アポクリン腺を含む皮下脂肪を吸引器によって吸い出します。しかし、アポクリン腺は皮下脂肪だけではなく真皮層にも密着しているため、腺根が残り、臭いが再発する可能性が考えられます。さらに、エクリン腺が摘出できないので、多汗の解決にはならず、血腫ができるなどのトラブルも少なくありません。
超音波吸引法
メカニズムは皮下組織吸引法とよく似ていますが、超音波吸引法は皮下に挿入するパイプに超音波を発する器具をつけた治療法です。この超音波の熱により吸引力が高まるため、アポクリン腺だけではなくエクリン腺まで破壊できるのが大きなメリット。臭いはもちろん、多汗を抑えたい人にぴったりです。吸引法と同様に傷が残りにくく、切開部が小さく済むのは嬉しいポイントですが、超音波によって熱を強く与えすぎると皮膚にダメージが生じる場合もあります。
保険が適用される条件
ワキガにはさまざまな手術法がありますが、すべての手術に保険が適用されるわけではありません。保険の適用は、主に3つの条件があります。
● 保険治療が可能な病院やクリニックであること
● 医師にワキガであると診断してもらうこと
● 保険が適用される手術方法であること
もちろん、先ほど紹介した手術法の中にも保険が適用になるものも存在します。それでは、保険が適用になる3つの条件について詳しく見ていきましょう。
保険診療が可能な病院やクリニックであること
大前提として、保険適用の手術を行う病院やクリニックを選ぶ必要があります。特に、美容外科や美容皮膚科で行っているワキガ手術は、保険が適用されない「自由診療」で行っている場合があるため、事前に保険が適用になるのか確認するようにしましょう。
医師にワキガであると判定してもらうこと
仮に保険適用の手術を行っている病院であっても、医師にワキガであると認められなければ手術に保険が適用されません。また、ワキガの判定は医師の嗅覚によるものがほとんどなので、医師によっては見解が異なる場合もあります。ワキガには、汗染みが黄ばんだり耳の中が湿るという臭い以外の体質的な特徴も見られるため、臭いや黄色い汗染みが残っている衣服を持参するのが良いかなど、事前に聞いてみても良いでしょう。
保険が適用される手術方法であること
ワキガの手術の中でも、一般的に保険適用の対象となるのは直視下手術法の剪除法です。保険が適用されない場合、手術代はおよそ30万円かかると言われていますが、保険が適用されると3〜5万円程度で済みます。保険の適用がないと手術にかかる費用が6〜10倍にもなるので、保険適用で手術を希望する人は剪除法を検討してみてください。
手術に伴うリスク
ワキガの手術は、臭いの元となるアポクリン腺を直接取り除くため、ワキガの臭いを根本的に解消する効果が期待できます。しかし、皮膚にメスを入れたり、皮下組織にダメージを与えたりするので、必ずしもリスクがないとは言い切れません。それでは、手術に伴うリスクについて紹介していきます。
再発のリスク
ワキガの手術を行ったとはいえ、ワキガを完治できるわけではありません。たとえばレーザー療法や吸引法の場合、一度でアポクリン腺を除去することはできないため、一時的にワキガの臭いを抑えることができても再発する可能性あります。さらに、目視で手術を行うわけではないので、アポクリン腺の取り残しなどが起こる可能性は剪除法よりも高いです。また、医師の手で直接手術を行う剪除法も同じで、アポクリン腺を完全に除去できなかった場合はワキガの臭いが再発する可能性があります。手術をすれば必ずワキガが治る、とは過信しないようにしましょう。
傷跡が残るリスク
剪除法や皮下組織吸引法のようにメスを入れる手術は、手術痕が残る可能性も考えられます。今ではほとんど行われていませんが、皮下組織切除法を行えば大きな傷跡が残るだけではなく、縫合時に皮膚がつっぱったり、血管を圧迫したりするなどの後遺症が残ることもあるようです。また、安全性が高いとされるレーザー療法も、軽いやけどを起こして色素沈着が生じる可能性があります。手術は少なからず皮膚にダメージを与えてしまうということを覚えておきましょう。
副作用のリスク
ワキガの手術によっては、脇の皮膚を大きく切り開くものもあります。皮膚を大きく切り開くと神経組織が傷つく場合があり、それによって術後しばらくむくみやしびれといった副作用が引き起こされる可能性もあるのだとか。また、アポクリン腺と一緒にエクリン腺を除去した場合、体温調節に必要な交感神経が働かなくなってしまうので、多汗になることもあるようです。さらに多汗によって汗の臭いを気にするようになれば、それがストレスになって臭いの原因物質を作りだし、ワキガの臭いを再発させる可能性もあります。手術にはいいことばかりではなく、こうした副作用のリスクがつきまとうことを理解しておきましょう。
まとめ:本当に手術が必要かしっかり見極めましょう
ワキガの臭いを直接抑えたいなら、たしかに手術が効果的です。しかし、手術となると副作用や合併症、再発のリスクもあり、それなりに費用もかかってしまいます。ワキガの臭いは手術だけではなく、サプリやクリームによるセルフケアで抑えることも可能です。手術を検討する前に、セルフケアでできることは一通り試してみましょう。
岸田 茉麻
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