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近年、すっかり身近になったアロマ。「アロマ=良い香り」というイメージを持っている方が多いと思いますが、どのような状況でどんなアロマオイルを使うと効果的なのかは、あまり知られていないかもしれません。
まず、アロマテラピーという言葉には『芳香療法』という意味があります。花やハーブ、樹木、果実、種子などから香り成分だけを抽出したアロマオイル(精油)を使用し、心身のリラックスやリフレッシュ、また身体の不快な症状の緩和など、生活の様々な面で役立てることができます。これまでに、アロマオイルに関して様々な研究が行われ、医学的にもその成分は認められています。治療の補助としてアロマテラピーを取り入れている医療機関もあり、アロマテラピーの可能性は広がる一方です。
しかし、一般の方がアロマを利用するとき、どのアロマオイルをどういった状況で使用すべきなのか、わからない方も多いと思います。そこで、天然の香料であるアロマオイルについて実際に身体に対してどのような効果があるのかを詳しく説明していきます。
アロマオイルの効果
現在では数100種類以上もあるアロマオイルですが、それぞれに様々な効果が期待されます。原料となる香料植物により、それぞれのアロマオイルには異なった成分が含まれています。そして、各精油成分により香りや効果が決まります。心や体への作用だけでなく、スキンケアに向いているもの、また風邪予防に向いているものなど、多様な効果が期待できます。ここからは、それぞれの状態に適したおすすめのアロマオイルを紹介していきます。
心・精神面への働きとおすすめアロマオイル
皆さんもよくご存知なのは、アロマオイルによるリラックス効果ではないでしょうか。アロマオイルの中には、心を落ち着かせ穏やかにさせるもの、刺激を与え元気にさせるものなどがあります。ここでは、それぞれの心の状態に合わせたアロマオイルをご紹介します。
ストレス解消・緩和
ストレスを感じると、脳内の視床下部と下垂体と呼ばれる部位が敏感に反応します。これらは、体の新陳代謝、体温調節、水分調節、消化、吸収、性機能、感情などをコントロールしています。ストレスによりここが影響を受けると、自律神経やホルモン分泌の調整機能が乱れ、その結果、無気力や倦怠感、下痢、便秘などの不調につながってしまいます。そこで、リラックスできるアロマオイルの香りで、自律神経やホルモン分泌のバランスを整えます。
おすすめのアロマオイル
ラベンダー、ベルガモット、マンダリン、オレンジ、イランイラン、ゼラニウム、ネロリ、フランキンセンス、サンダルウッド、マジョラム、カモミール・ローマン、ローズウッド
不眠の解消・緩和
寝る直前までテレビやスマートフォンを使用して、頭が冴えて寝付けないときや、興奮や緊張がおさまらないときは、神経を静めて安眠を促すアロマオイルや体を温めるものがおすすめです。これらのアロマオイルをマッサージオイルにブレンドして、背中や胸をやさしくマッサージするとさらに心身ともにリラックスして安眠できます。また、お風呂にアロマオイルを入れて、アロマバスやフットバスで体を温めるとリラックスできます。
おすすめのアロマオイル
ラベンダー、ネロリ、プチグレン、マジョラム、マンダリン、オレンジ、マジョラム、
カモミール・ローマン、ベチバー
気分転換・集中したいとき
頭をスッキリさせ、リフレッシュ効果の高い精油を選びましょう。樹木の葉や幹、柑橘の皮などからとれる精油がおすすめです。清々しく爽やかな香りが気持ちをしゃきっとさせて、活力を高めることができます。エアーフレッシュナーを作っておけば、集中したいときにすぐに使うことができます。
おすすめのアロマ
グレープフルーツ、サイプレス、ペパーミント、ジュニパー、ティーツリー、ユーカリ、レモン、ローズマリー、レモングラス、ヒノキ、ブラックペッパー
精神疲労・消耗・無気力なとき
頑張りすぎて疲労困憊してしまい、場合によっては無気力になりやる気が出なくなってしまったときには、身体を温め、心身を活性化させる精油を中心に選びましょう。また、肝臓や腎臓、胃腸を刺激する精油を一緒に選ぶと、身体の中から元気にしてくれます。
おすすめのアロマ
シダーウッド、ジンジャー、ジュニパー、ティーツリー、レモングラス、ヒノキ、
ブラックペッパー、ユズ、ゼラニウム、ローズウッド
体への働きとおすすめアロマオイル
精油成分の中には、痛みを和らげる鎮痛作用をもつものや、血液やリンパの流れを改善する作用、消化の働きを高め食欲を増進させるもの、ホルモン分泌を調整するものなど様々です。また、免疫のはたらきを強め、活性化する作用や、痰を排出させやすくする作用、抗菌・抗ウイルス作用などを利用すると風邪やインフルエンザの予防に役立ちます。
ここでは、それぞれの体の状態に合ったアロマオイルをご紹介します。
風邪・インフルエンザ予防
鼻水や痰が出るのは、体が細菌と戦っている証拠です。抗菌、抗ウイルス、免疫力を高める効果が高いといわれる精油を利用することで、体の治癒力を応援することができます。また、新たな細菌やウイルス感染を防ぐために、痰や鼻水を出しやすくする作用のある精油もおすすめです。
おすすめのアロマ
ティーツリー、ユーカリ・グロブルス、ユーカリ・ラディア-タ、ラベンサラ、
ペパーミント、マートル、ローズマリー、レモン
鼻づまり
鼻づまりの原因は様々ですが、鼻の粘膜が腫れて、鼻水の通りが悪くなることで鼻詰まりが起こります。アロマのはたらきによって、その粘膜を溶かし、粘膜の腫れを抑えることができれば鼻づまりを解消することができます。また、鼻づまりで眠れないときは、ラベンダーなど、リラックスして心地よい眠りに導いてくれる精油をブレンドすると良いでしょう。
おすすめのアロマ
ユーカリ・グロブルス、ユーカリ・ラディア-タ、ティートリー、ペパーミント、
マートル、ローズマリー、サイプレス、フランキンセンス、ラベンダー、ネロリ
花粉症予防
花粉症の症状の度合いは、ストレスや食生活も大きく関わっています。ストレスが多いと、免疫や自律神経の働きが乱れやすくなり、症状がひどくなることがあります。花粉症の時期だけではなく、普段から免疫力を高めるアロマオイルやリラックスできる香りを日常生活に取り入れることをおすすめします。
おすすめのアロマ
ティートリー、ユーカリ・グロブルス、ユーカリ・ラディア-タ、ペパーミント、
カモミール・ローマン、レモン、メリッサ、ラベンダー
認知症予防
数年前に行われた研究では、特定のアロマオイルが認知症の予防に有効だと発表されました。認知症予防でのポイントは、香りによって脳のスイッチを切り替えることです。
まずは朝に、シャキッと活動的になる香りで脳をオンにします。そして、夜は眠りにつく前にゆっくりリラックスできる香りで脳をオフモードに切り替えます。
おすすめのアロマ
朝用アロマ:ローズマリー、レモン、ユーカリ、ペパーミント
夜用アロマ:ラベンダー、オレンジ、サンダルウッド、フランキンセンス
スキンケア効果とおすすめアロマオイル
アロマオイルには、スキンケアにも大いに役立ちます。種類によって、保湿力や皮膚を引き締める作用、皮膚を柔らかくする作用などが期待できます。中には、殺菌作用や、傷や傷跡の治りを早めるといわれるものもあります。それでは、肌の状態に合わせたおすすめのアロマオイルを紹介していきます。
乾燥肌
皮膚に潤いを与え、乾燥を防ぐ作用の高いアロマオイルと共に、皮膚細胞を活性化させるアロマオイルや皮脂分泌のバランスを整えるようなものを選びましょう。入浴後、ホホバ油などにブレンドして作ったオイルでフェイシャルマッサージをすることで、更に保湿効果が高まります。また、マッサージによって血流が促進され、皮膚の新陳代謝が活性化されるので、肌に活力が出てきます。
おすすめのアロマ
ラベンダー、イランイラン、ゼラニウム、ネロリ、フランキンセンス、サンダルウッド、マジョラム、カモミール・ローマン、ローズウッド、パルマローザ
ニキビ肌
ニキビは、皮脂分泌が多くなり毛穴が詰まってしまい、そこに雑菌が繁殖することで悪化してしまいます。まずは、皮脂分泌の調整と細菌を抑えてくれるアロマオイルを選びましょう。また、毛穴を引き締める効果のあるアロマオイルもおすすめです。ホルモンバランスの乱れからできる大人ニキビには、心身をリラックスさせる精油も合わせて使うと良いでしょう。ニキビ肌は皮膚が敏感になっているので、アロマオイルの使用は少量に留めておきましょう。
おすすめのアロマ
ティートリー、パルマローザ、ラベンダー、ゼラニウム、イランイラン、クラリセージ、ベチバー
オイリー肌ケア
皮脂分泌を調整するアロマオイルを選びましょう。皮脂が多いからといって、過度の洗顔は必要な皮脂まで取ってしまいます。洗顔前に蒸気を顔に当てて毛穴を開き、毛穴の中の汚れや老廃物を出しやすくしてから、ぬるま湯で洗顔するのがおすすめです。洗顔後は、アロマオイルを混ぜたローションで毛穴を引き締め整えると良いでしょう。
おすすめのアロマオイル
サイプレス、ジュニパー、ゼラニウム、マンダリン、ラベンダー、ローズマリー、レモン
女性特有の症状への働きとおすすめアロマオイル
女性特有の症状は、世代によって起こりうる症状が変わってきますが、ポイントは女性の健康に一番大きく関わる女性ホルモンのバランスを整えることです。冷えやストレスなどにより、女性ホルモンの分泌が乱れると、月経周期の乱れやPMSの悪化につながります。月経周期を確認し、ホルモンバランスの変化に合わせてアロマオイルを利用することで、むくみや食欲増加、PMSなどを緩和することができます。ここでは、それぞれの症状に合ったアロマオイルを紹介していきます。
月経痛の緩和
まずは、お腹周りを冷やさないようにしましょう。骨盤内がうっ血しないように、血流を改善するアロマオイルや体を温めるものを選ぶと良いでしょう。また、痛みで体が緊張してしまうと更に悪化するので、体がリラックスできるアロマオイルがおすすめです。
おすすめのアロマ
オレンジ、マンダリン、カモミール・ローマン、ラベンダー、サイプレス、ジュニパー、イランイラン、クラリセージ、マジョラム
むくみの改善
排卵後から月経が始まるまでの期間は、体は水分や栄養分を溜め込みやすくなり、その結果むくみやすくなります。この時期は、血行やリンパの流れを改善できるアロマオイルや体を温めるものを使用すると、すっきりと過ごせます。
おすすめのアロマ
ジュニパー、サイプレス、グレープフルーツ、ゼラニウム、マジョラム
更年期の不調
個人差はありますが、閉経の前後5年間(おおよそ45歳~55歳)は、卵巣機能の低下に伴い女性ホルモンの分泌量が低下します。しかし、脳からは女性ホルモンの分泌指令が出てくるので、体内のホルモンバランスが乱れてしまい、めまいやほてり、情緒不安定、頭痛、多汗など様々な症状が出ます。そこで、ホルモン調整とリラックス、また体を温める効果のあるアロマオイルがおすすめです。
おすすめのアロマ
イランイラン、ゼラニウム、ローズ、ローズオットー、クラリセージ、ジャスミン、
カモミール・ローマン、マジョラム、フェンネル、オレンジ、ベルガモット
抗菌・防虫への働きとおすすめアロマオイル
多くのアロマオイルには抗菌作用がありますが、その中でも特に抗菌や防虫の効果が高いといわれるものがあります。夏場の蚊対策やダニ対策、またキッチン周りの雑菌対策など、やはり目的に合わせてアロマオイルを選ぶ必要があります。それぞれの用途に合ったアロマオイルを紹介していきます。
夏場の虫よけ対策
蚊が嫌いな香り成分シトラールを含むアロマオイルがおすすめです。無水エタノールと精製水にアロマオイルを混ぜて持ち歩き、衣類や帽子にスプレーすれば虫よけの効果が期待できます。
おすすめのアロマ
ゼラニウム、シトロネラ、レモン、レモングラス、ユーカリ・レモン、クローブ
キッチン周りの雑菌対策
生ものを切った後のまな板や、キッチン周りを拭いて洗った後の布巾など、放っておくといつの間にか雑菌が繁殖し、異臭や黒カビなどの原因になります。抗菌や殺菌効果が高いといわれるアロマオイルがおすすめです。
おすすめのアロマ
ペパーミント、レモン、ティーツリー、ヒノキ
アロマの効果まとめ
この記事の要点をまとめておきますね。
心や精神へのはたらき
- ストレスを和らげることができる
- 安眠効果が期待できる
- 気分をリフレッシュさせ、集中力を高めることができる
- 心身ともに疲れひどく落ち込んだときに、活力を取り戻すことができる
体へのはたらき
- 風邪やインフルエンザの予防に役立つ
- 鼻づまりの症状を緩和することができる
- 花粉症の予防に役立つ
スキンケア
- 肌を柔らかくし、保湿力を高め乾燥を防ぐことができる
- 肌を清潔に保ち、ニキビ予防に役立つ
- 皮脂分泌のバランスを整える
女性特有の症状の緩和
- 身体を温め、血流を改善するので月経痛を和らげることができる
- 血液やリンパの流れを改善しむくみを改善することができる
- ホルモンバランスを整えて更年期の不快な症状を和らげることができる
抗菌、防虫に役立つ
- 虫が嫌う香り成分を利用すれば虫よけの効果が期待できる
- 抗菌に優れているので雑菌の繁殖を抑えることができる
manomano
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