目次
嫌~な体臭の原因となる汗。なかでもアポクリン腺から出る汗はワキガ臭の原因になります。
今回はアポクリン腺がある場所やその働き、アポクリン腺とエクリン腺の違いについての紹介や、アポクリン腺の働きを活発にしてしまう悪い習慣などを紹介します。
アポクリン腺っていったい何?
アポクリン腺とは動物の汗腺の一つです。
脂質やたんぱく質などを含む乳白色の分泌物を皮膚のうえに分泌します。
この分泌物を皮膚の上に存在する常在細菌が分解することで臭いを発しますが、これは社会的、あるいは性的な個体間の関係を結ぶのに必要不可欠なフェロモンとして機能しているとされています。
アポクリン腺とエクリン腺の違いって?
アポクリン腺もエクリン腺も、どちらも汗腺の一つです。
しかし、同じ「汗腺」と言ってもその特徴や成分、分布場所は大きく違います。
今回はエクリン腺とアポクリン腺の差を表にして比較してみましょう。
こうしてみると、汗の出る腺という意味では同じですが実はその性能や効果、特徴などかなり大きな差がありますね。
実際「汗を抑える」といった場合にも発汗のメカニズムが違うため、エクリン腺とアポクリン腺では別のアプローチをする必要があり、汗対策も一筋縄ではいかないものであることがわかります。
アポクリン腺はどこにあるの?
アポクリン腺のある場所は先ほどエクリン腺との違いの紹介部分で少し触れましたが、ヒトの体では特定の部位にしか分布していません。
これはヒトだけに見られる特徴で、犬や猫などのその他の哺乳類は全身にアポクリン腺が分布しており、逆にエクリン腺は足の裏(肉球の部分)などわずかな部分にしか分布していません。
アポクリン腺の分布する場所は特にマンマリーラインなどと呼ばれ、脇からデリケートゾーンへ、Yの字を描くように分布しています。
日本人にはワキガ遺伝子を持つ人が少ない?
日本人は、10人に1人の割合でワキガ体質だと言われています。
こうして見ると、「思っていたより多い!」と思うかもしれません。
しかし世界的な数値で見ていくと、実は日本人は非常にワキガ体質の人が少ないのです。
というのも、黒人はほぼすべて100%の方がワキガ体質であり、欧米人は約70~90%がワキガ体質です。
一番少ないのが中国系で、その数は3~5%ほどであると言われています。
こうして見ると、日本人のワキガ人口は少ない部類に入ると言えますね。
70くさき物
ワキガのルーツというのは以外にも古く、万葉集にもワキガの事を揶揄する内容の歌があるんだとか。
万葉集と言えば、今から1,000年以上も前に書かれた和歌集です。
その中に、
「童ども草はな刈りそ八穂蓼を穂積の朝臣が脇草を刈れ」
という一句があります。
意味は
「そこの草を刈っている子供 草はもういいから、穂積朝臣の臭い脇の下の草(毛)を刈ってくれ」
と言った内容のもの。
「脇が臭い」というのと、「脇草」というのをかけているようです。また、毛を「草」と表現しているのも面白いところ。
万葉集以外にも、「枕草子」のパロディーとして有名な「犬枕」という江戸時代に作られた仮名草子には、
“七〇くさき物”
としてにんにくなどとともに「脇香」と書かれています。
このように、江戸時代からワキガの人がいて、それに悩んだりそれをからかったり嫌味を言ったりする人がいたということがわかります。
黒人や欧米人のように、過半数の人がワキガ体質であればワキガであることでからかわれたり嫌がられることはありませんが、日本人のように過半数の人がワキガ体質ではないと、ワキガ体質が目立つようになり肩身の狭い思いをすることもあると言えますね。
アポクリン腺を活性化させる習慣とは
さてワキガ臭の原因となるアポクリン腺ですが、本来生まれつき持っている腺の数は決まっています。自然に、新たにアポクリン腺の数が増えたり減ったりすることはあり得ません。
働きを活性化させてしまう習慣などはあるのでしょうか。
ここではアポクリン腺を活性化させてしまう習慣を紹介します。
食事
アポクリン腺とエクリン腺の比較箇所で簡単にお伝えしましたが、アポクリン腺から分泌される汗の成分はたんぱく質や、中性脂肪、脂質、脂肪酸、コレステロール、鉄分、糖質などが主です。
当然、これらの栄養素を多く含む食品を日々摂取していれば、臭いはきつくなる傾向にあります。
それだけでなく動物性たんぱくや油が中心の食事を続けていると、アポクリン腺の一つ一つが刺激されて活動が活発になったり、アポクリン腺自体が肥大したりすることがあります。
すると“より強いワキガ臭”を発生するようになることがあるようです。
ストレス(興奮や緊張)
ヒトはストレスを感じると交感神経が働きます。
交感神経が働くと、アドレナリンという神経伝達物質が分泌されます。先ほど一覧表にも記載しましたが、アドレナリンが分泌されると、アポクリン腺が活発に働くようになり、アポクリン腺からの発汗を促します。
このアドレナリンという神経伝達物質は、興奮や緊張を感じたときにも分泌されます。
肥満
皮下脂肪は、アポクリン腺を刺激し、活発化させてしまうということがわかっています。
内臓脂肪には、断熱材としての働き(熱がこもる)があるため、体の中心部の体温が下がらず、睡眠に入りづらくなってしまったり、汗をかく原因になってしまったりします。
実際、それまで特にワキガや体臭が気になることのなかった人が、肥満体になってからワキガや体臭がキツくなることもあるようですので、太っていて体臭が気になる場合はダイエットも臭い改善に一役買うこともあるかもしれません。
睡眠不足
睡眠中は体がリラックスし、副交感神経が活発に働くようになります。
睡眠時間が不足していると副交感神経が働くタイミングを失ってしまい、交感神経が働き続けるためアポクリン腺を刺激してしまいます。
また、内臓も休まらないので内臓機能が低下し、体臭やエクリン腺からの汗臭の悪化にもつながります。
喫煙
「喫煙は体に悪い」というのはよく言われていることですが、タバコの成分であるニコチンは交感神経を刺激するためアポクリン腺を刺激し、発汗を促進します。
さらに、タバコは視床下部という体温調節を行う部分も刺激するので、通常の発汗も促します。
また、タバコはビタミンCやビタミンEなど体臭の元になる過酸化脂質の増加を抑えるビタミンを破壊したり、たくさん消費したりしてしまいます。
すると、過酸化脂質の増加を押されられなくなるため、体臭の悪化につながります。
アポクリン腺の働きを抑える習慣とは
アポクリン腺を活性化させてしまう習慣はわかりました。
それでは活性化してしまったアポクリン腺の働きを少しでも抑えるにはどうしたら良いのでしょうか。
食事
たんぱく質や、中性脂肪、脂質、脂肪酸、コレステロール、鉄分、糖質などの食品はなるべくたくさん摂らないように心掛け、動物性たんぱくの摂取を控えるようにします。
また、ミネラルを多く含んだアルカリ性食品を積極的に食べることでワキガや汗の臭いを軽減することができます。
ストレスを上手に解消する
ストレスを感じることでアドレナリンが分泌され、アポクリン腺を活性化させてしまいます。
ストレスをため込んでしまうのは健康にもよくありませんので、ストレスは上手に発散してあげることが重要です。
体型に気を付ける
肥満は健康に悪いだけでなく、体臭の悪化につながります。
運動をして汗をかくことはダイエットにも体臭の軽減にもつながりますので積極的に行うようにしましょう。
睡眠を十分にとる
十分な睡眠をとることで副交感神経が活発に働くだけではなく、ストレスの解消にもつながります。
忙しい日々でも、なるべく睡眠時間は多く取るように心がけましょう。
禁煙をする
タバコを吸うことでアポクリン腺やエクリン腺が活性化されます。
また、ビタミンを消費したり破壊したりすることで体臭の悪化にもつながりますので、体の臭いが気になる人や、アポクリン腺の働きを抑えたい人はなるべくタバコを控えるようにしましょう。
外科手術を行う
アポクリン腺は自然に小さくなったりなくなったりすることはありません。もし根本的な治療を望むのであれば、アポクリン腺の除去手術を受ける必要があります。
最近では、皮膚を切開せず超音波や高周波などを使って汗腺を破壊する治療方法もありますので気になる人はクリニックで相談してみると良いでしょう。
また、ここまでいくつか紹介しましたが、こういった項目に該当するということは私は臭いんだ!といった具合に思い込んでしまったり、以前、誰かから臭いと指摘されたりしたことが原因で自臭症(自己臭恐怖症)に陥ってしまうこともあります。
これは、実は臭ってはいないのに私は臭いんだと思い込んでしまう症状なのであまり、物事を深く考えたり、神経質な人はこういった症状の可能性もあるので注意してみて下さいね。
自臭症(自己臭恐怖症)についてはこちらの記事をご覧下さい。
まとめ
今回はアポクリン腺の場所や、アポクリン腺を活性化させる原因などについて紹介しました。
アポクリン腺の大きさや活性を改善するのはなかなか難しいですが、発生する臭いを抑えるのはきちんとしたケアを行えば可能です。
アポクリン腺を活性化させる習慣を改めるように努め、臭いはきちんとケアして快適に過ごせるようにしましょう!
r .t
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