ケツガや肛門周辺のニオイ対策方法って?手術はダメって本当?

ケツガや肛門周辺のニオイ対策方法って?手術はダメって本当?

ケツガとは

お尻のワキガの事をケツガや肛門ワキガと呼びます。
ワキガの人はこのケツガや乳輪周辺が臭うチチガ、性器周辺が臭うスソワキガを併発している場合が多いのです。

なぜワキガの人はケツガになる?
ケツガとワキガは、原因が一緒です。
アポクリン腺と呼ばれる汗腺から分泌される汗が原因で臭います。
アポクリン腺が多かったり発達していたりするとワキガのにおいが発生、腺の量や発達具合で強く臭うようになります。
アポクリン腺は外耳道のほか、マンマリーラインといわれる乳腺の並びに沿って存在しているので、ワキから肛門の間(乳輪周り、おへそ周り、デリケートゾーン周り)などから臭いを発するチチガ、スソワキガなどの症状が出ることもあります。
においの発生はホルモンバランスや性的興奮とも関係があるため、生理前後や成長期、産後、更年期などにニオイを強く感じられるようになったり、性交渉の際に彼氏や彼女など、パートナーから指摘されたりして気づくケースが多いのです。

アポクリン腺の多い箇所【外耳道・脇の下・乳首の周り・おへその周り・デリケートゾーン・マンマリーライン】

↑このように、アポクリン腺は体の中でも特定の場所にのみ分布しています。

ケツガは手術で治る?

気になるケツガやスソワキガ、チチガの治療法はあるのでしょうか。
手術は出来ないと言った声も聞きますが、その真相は?ワキガには有効な治療法であっても、ケツガ(スソワキガ)やチチガには適用できない治療法も存在します。

剪除法(直視下切除法)

ワキガの治療法として有効な、保険も適用される術式です。
ワキの皺に沿って2~3㎝ほど皮膚を切開・反転し、アポクリン腺を露出させて目で見ながら取り除きます。
数ある手術法の中でも非常に効果が高いとされる術式ですが、下の画像のようにワキのみの適用とされる場合がほとんど。
※下の画像は某クリニックへ問い合わせた際の返答内容です。

術後の傷跡が目立つことや、圧迫固定を1週間ほど行わなければならない事などデメリットも多いのがポイントです。

クリニックへの問い合わせ返答内容

シェービング法(クアドラカット法)

こちらもワキガの手術として非常に有効です。
5㎜~1㎝くらいの穴をあけ、そこから鼻毛カッターの先端のような形状のシェービング機、もしくは吸引機を挿入。アポクリン腺を削り取って吸引します。
傷跡は目立ちにくいですがこちらも患部の固定が必要で、実際にアポクリン腺を目で見て切除する剪除法よりもアポクリン腺の除去率は悪いとも言われています。
こちらの治療法もケツガは対象外で、女性の性器周辺(スソワキガ)への施術は可能なようですが、肛門周辺や男性器周辺への施術は排尿障害を起こす可能性などから行えないとのことでした。
※こちらは実際に治療を行っている某美容外科に電話で問い合わせを行っています。その他クリニックによっては治療を行っている場合もあります。

このようにワキガ治療に有効とされる手術法も、残念ながらケツガやスソワキガなどデリケートな部位には治療が行えない場合も多く、今まではスソワキガやケツガの治療法はないと半ば諦められている状態でした。

ケツガの治療・対策方法

ケツガ、スソワキガで悩む皆さん安心してください。きちんとケツガやスソワキガにも治療法や対策法はあります!
ここではその方法をいくつか紹介します。

ケツガの治療方法

ビューホット

2014年頃から国内で開始された最新の治療法です。
細い針から出る高周波が汗のもとであるエクリン腺やアポクリン腺などの汗腺を破壊します。1度の照射で治療は完了し、ガーゼでの固定も必要としないため通院は不要、傷跡も残りません。
ワキ以外でも陰部(男性の陰茎部、陰嚢部も含む)や肛門、手のひら、足の裏など全身どこでも治療が可能だと言われています。
ただし、まだ新しい治療法の為、再発率などまだまだ不透明なところも多いのが現状です。

電気凝固法

こちらは毛穴に直接マイクロニードルを刺し、電気(高周波)を流すことで毛根とアポクリン腺に熱破壊を行う治療法です。安全性が高く、男女ともに有効、小学校高学年から治療が可能とするクリニックもあります。
脱毛も同時に行えるためにおいケアだけではなく毛の処理も同時に行いたい方におすすめですが、1度では完了せず、数回の加療が必要となります。
また、重度のワキガには効果があまりないとするお医者さんもいます。

ボトックス

一番手軽かつ即効性のある方法です。ボトックス(ボツリヌストキシン)というボツリヌス菌から抽出されたたんぱく質の一種を患部に注射することで、エクリン腺の活動を抑制し汗の分泌を抑えます。
こちらは10分ほどで治療が行え、即効性もありますがあくまでもエクリン腺の活動抑制にとどまる為、ワキガにはあまり効果が期待できないという意見もあります。
また、クリニックによっては女性の性器周辺(スソワキガ)への施術は可能だけれど肛門周辺(ケツガ)や男性器周辺への施術は排尿障害を起こす可能性があるため行わないとするクリニックもあるようです。

上記3つの方法が、ケツガにも適用される治療法です。ただし、治療自体は行っているがワキや女性のスソワキガのみの対応としているクリニックもあるので、事前の確認が必要となります。

ケツガの対策方法

デオドラントクリームを使用する

デオドラントアイテムは複数ありますが、肛門付近やデリケートゾーンに使用するのはクリームタイプがおススメです。
スプレータイプは凍傷の危険性や粘膜部にスプレー剤が入ってしまう危険性などがあります。ロールオンタイプも、毛がローラーに巻き込まれる危険性や、衛生面で問題があります。
都度指に出して気になるところに塗布できるクリームタイプが、安全面でも清潔面でも優れていると言えるでしょう。

ウエットティッシュでお尻を拭く/ウォシュレットの使用

肛門周辺やデリケートゾーンを清潔に保つのも重要です。肛門周辺に汚れがあると、雑菌が繁殖する原因やニオイの原因となります。
ウォシュレットやデリケートゾーン専用のペーパーなどを適切に使用し、清潔を保つようにしましょう。
入浴時はゴシゴシを擦りすぎないようにし、ボディソープや石鹸も洗浄力の強すぎるものは避けるようにするのがポイントです。
肛門や性器周辺は、粘膜にも非常にデリケートです。何事もやりすぎは肌トラブルの原因となるので、洗いすぎや擦りすぎには気を付け優しくケアするのが大切です。

ケツガ以外で肛門が臭う原因

実は、ケツガ以外でも肛門周辺が臭う場合があります。ケツガ以外のお尻のニオイの原因をいくつか紹介します。

脱肛による臭い

脱肛とは、排便時などに直腸の下部分の粘膜が、肛門の外側に出てしまう疾患のことです。
いぼ痔などが悪化した場合や、加齢によって肛門括約筋が緩んでしまった場合、出産時にいきむことで脱肛になってしまう場合もあります。
症状が比較的軽度の時は飛び出しても直腸が自然と元通りに戻ってしまう事から、様子を見ている人が多いのですが、症状が悪化すると、排便時だけでなく、スポーツやくしゃみをした時など腹圧がかかった時に日常生活の中でも脱肛するようになってしまいます。
直腸は分泌物を出しているため、脱肛することで分泌物が下着に付着するなどしてニオイを発することがあります。

便による臭い

排便のあと、便がキレイに拭きとれていない場合があります。
特に、肛門の周りに毛が生えている場合などは、しっかり拭いたつもりでも毛に便が絡みつき、キレイに取りきれないことがあるのです。
また、ウォシュレットを使用することで温水が肛門内に入り、肛門内の残便と混ざって便汁となり肛門から漏れ出て汚れやニオイの原因になることもあります。

エクリン腺から出る汗による臭い

汗をかくと、汗や皮脂を栄養として細菌が繁殖し、ニオイの原因になります。
特に下半身は下着やズボンなどで通気性も悪く、汗をかいても蒸発しにくく蒸れやすい部位です。
ただでさえ排尿・排便をする部位であることに加え、汗をエサに雑菌が繁殖することで汗臭くなってしまったり、便や尿がキレイに拭きとれていないと汗をかくことでニオイがよりきつくなったりすることがあります。

このように、ワキガ体質ではない人でもお尻から不快な臭いを発生させてしまうことがあります。
家族にワキガ体質の人がいない、自分でもお尻以外のニオイが気になったことはない。そんな場合はケツガ以外の原因でニオイが発生している可能性があります。
治療を希望するのであれば、肛門科や泌尿器科など専門のクリニックを受診するようにしましょう。

その他、実は臭くないのに自分は臭い!と思い込んでしまう自臭症(自己臭恐怖症)といった症例もあります。
自臭症(自己臭恐怖症)かどうかを知りたい方はこちらの記事もお読みください。

 

手術は向かない…けど、対策法はある!

ケツガの治療・対策方法について紹介しました。
ケツガ・スソワキガやチチガなどは人に相談するのも恥ずかしいし、パートナーにニオイを指摘された事がコンプレックスとなりその後の人間関係に積極的になれない人もいるのではないでしょうか。

部位の性質上、圧迫固定が難しい事や安静にするのもなかなか難しい事など残念ながら手術での根治は現実的ではないと言えるでしょう。
ですが、ケツガにも対応する治療方法はありますし、明日からでもできる対策方法も存在します。
諦めず、適切な対処をすることが重要であると言えます。

ケツガについてもっと知りたい人はこちらもお読みください↓。

 
ワキガ・ケツガと共に併発しやすいチチガの記事も併せてご覧ください。

 

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歯科衛生士 スキンケアアドバイザー 2匹のチワワと暮らしています。 ペットとの生活臭が気になるところから、体臭などの全身の臭いケアについても勉強するようになりました。 歯科衛生士として都内のクリニックに4年勤めたのち、現在は化粧品メーカーに勤務する傍ら美容について日々勉強しています。 歯科衛生士の視点とスキンケアアドバイザーの視点から、気になる臭いのケアについてご紹介していきたいと思います。

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