嗅覚は鍛えることができた!脳との関係と鍛える方法とは

嗅覚は鍛えることができた!脳との関係と鍛える方法とは

「におい」は、私たちの生活の中で溢れかえっています。
五感の中で、嗅覚はあまり大事と考えないひとも多くいるかもしれません。でも、嗅覚と脳の活動は、密接に関連しています。「におい」を感じにくくなったと思いはじめたら、それはまず、脳の衰えと考えましょう。嗅覚は、五感の中でも特殊な経路で脳に伝達されます。大脳辺縁系の海馬や偏桃体を経由し、記憶とも深く関連しているのです。嗅覚の衰えを感じたなら、嗅覚を取り戻すトレーニングで復活することも可能なのです。嗅覚のことを知って、日常の生活をもっと豊かにしてみましょう。

嗅覚ってどんな感覚器官?

嗅覚は、視覚、聴覚などのように誰しもが持つ五感の一つであり、鼻の中にある嗅覚受容体を介して「におい」を感知する器官です。この「におい」の刺激が脳のユニークな回路を経由して、脳へと伝達されます。また、嗅覚は、記憶とも密接に関わるユニークな器官でもあります。

五感の中で唯一感情や本能を司る部分へ直結!

嗅覚以外の五感である視覚、聴覚、味覚そして触覚は、感覚が刺激されると、まず脳の大脳新皮質という部分を経由します。ところが、嗅覚だけは、「におい」による刺激が、大脳辺縁系の海馬や偏桃体を経由します。ここは、感情などを支配する領域であり、食欲や本能行動にもリンクしています。そのため、他の五感による記憶よりも、嗅覚で得られた記憶のほうが、より記憶される持続が長いようです。そのため、ある特定の「におい」を嗅ぐと昔の記憶でも、パッと蘇ってくるのです。この現象は「プルースト効果」と言われています。

嗅覚は自分で鍛えられる!効果的な嗅覚トレーニングとは


歳を取るとともに、「におい」に対する敏感性が減少してくると思ったことはありませんか?鼻が悪くなったと、まずは感じることでしょう。でも、それは、鼻のせいではないのです。それは、むしろその情報を受けとる脳に問題があるのです。アルツハイマー患者の初期症状の一つとしてあげられるのが、嗅覚の減少です。でも、心配することはありません。嗅覚はトレーニングすることで本来の機能を取り戻すことができるのです。

意識して特定の「におい」を嗅ぐ

トレーニングが苦手だという人は、まず、物を意識して嗅いでみるといいでしょう。日頃の生活の中で意識して物を嗅いでみるだけで、嗅覚のトレーニングにつながります。例えば、食事の準備をするときに、野菜などの食品の「におい」を嗅いでみるといいかもしれません。そのニオイ物質が、あなたの鼻の中にある嗅覚受容体と結びつき、嗅上皮にある嗅細胞により電気信号が脳へ伝達されます。その電気信号は、嗅神経を通って、脳の大脳辺縁系へ伝え、「におい」として認識されます。ヒトの鼻腔内には、約400種類もの嗅覚受容体があるとも言われ、その組み合わせにより、数十万種類の「におい」をかぎ分けられると言われています。

嗅覚を鍛えるとどう変わるの?

嗅覚を鍛えると何が変わるのでしょうか?日常的に常に意識して「におい」を嗅ぐのと、嗅がないのでは、生活が全然違ってきます。毎朝のコーヒーの際に、まずはその香りを嗅ぐことで鼻の中の嗅覚センサーが更に刺激され、活発になります。これはクンクンセラピーとも言われていて、自分の好きな「におい」を意識して匂うことで、嗅覚を鍛える方法として知られています。嗅覚を司る脳は、本能や感情を制御する大脳辺縁系に繋がっています。つまり、そこを常に刺激することで、感情豊かな人間性が得られるのかもしれません。そもそも嗅覚を鍛えることは、脳を鍛えることにもつながるため、アルツハイマーや認知症の予防にもなります。実際に、この療法はアロマテラピーの療法としても使用されています。

嗅覚が衰えるどう変わるの?味覚や脳との関係性


嗅覚が衰えても、そんなに大したことは無いと思われがちですが、実はあなたが思っている以上に悪影響を受けます。嗅覚は、20歳代をピークにして、歳を取るとともに衰えていきます。まず、嗅覚が衰えると、食べ物の味がしなくなり、味覚を阻害します。そうなると食事を楽しめなくなりますよね。それが悪化すると、食欲不振が続き、体力もどんどん低下していき、免疫力も落ちて、体に悪影響を及ぼします。更に、「におい」の判別がつかないと、日常の生活の中でも危険が起きてきます。例えば、臭い「ニオイ」の判別ができないと、冷蔵庫にあるものの、食べ物が腐っているかどうかの判別ができなくなります。そうなると、家族の健康を害することにもなり、また、体の弱った人なら、下痢だけでは済まずに、病院に行くようなことにもなりかねません。また、家事をしている際にうっかり焼き物をほったらかしていても、焦げ臭いニオイですぐに感知できますが嗅覚が鈍っている状態だと、その発見もおくれ、煙などが広がり、火事になる恐れもでてきます。特に大事なのは、嗅覚と脳は連動しているため、嗅覚が衰えると、脳の活動力も衰えはじめ、気力が無くなり、外出もしなくなるようになりかねません。

認知症の初期段階には嗅覚低下も!?

前述しましたように、嗅覚と脳は密接に連動しています。嗅覚の衰えは、脳の衰えと考えてもいいくらいです。もし、臭いを感じられなくなったら、認知症等の疑いも持ったほうが良いでしょう。風邪を引いたから、「におい」が感じられないとか、アレルギーだからと楽観視せず、そういった症状があれば、一度医師に相談しておいたほうが無難です。それでは、認知症と嗅覚の衰えがどう関係しているのでしょうか?認知症の症状が現れる原因として、いくつかメカニズムがありますが、その中で、特に、嗅覚と関連が深いのは、アセチルコリン神経の脱落です。このアセチルコリンの減少で最も早く影響を受けるのが、この嗅覚なのです。そのため、アルツハイマー型認知症の患者の初期症状として、臭いが分からなくなるといった嗅覚の減少が目立つようになります。

この記事のまとめ

五感の一つである嗅覚は、ユニークな経路で脳に伝達され、感情や本能を司る領域と深い関係があります。
この記事のまとめを記しておきます。

  1. 嗅覚の衰えは、脳の衰えでもあること。
  2. 嗅覚の衰えは、腐った食べ物の特定や、煙などの感知の遅れにつながらり、日常生活でも影響を及ぼすことがある。
  3. 嗅覚が衰えることで、アルツハイマーや認知症の初期症状と疑う事もある。
  4. 嗅覚は、トレーニングによって回復可能で、それにより、脳の活性にも繋がり、心も体も改善することができる。
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豊川弘治

University of Idaho Ph.D in 2016 神戸大学自然科学研究科博士課程前期課程終了 2001年 2012年より、アメリカ国内の製薬関連企業でサイエンティストとして勤務。

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